Japanese
English
特集 人工呼吸管理をめぐって
急性呼吸不全における非侵襲的陽圧換気療法
Noninvasive Positive Pressure Ventilation in Acute Respiratory Failure
近藤 康博
1
,
長谷川 隆一
2
,
谷口 博之
1
Yasuhiro Kondoh
1
,
Ryuichi Hasegawa
2
,
Hiroyuki Taniguchi
1
1公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科
2公立陶生病院救急部・集中治療室
1Department of Respiratory Medicine and Allergy, Tosei General Hospital
2Department of Emergency and Intensive Care Medicine, Tosei General Hospital
pp.1075-1081
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100897
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はじめに
マスクを用いて換気補助を行う「非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)」は,近年欧米では様々な病態に対する有用性の検討により急性呼吸不全にも広く用いられるようになり,従来の挿管・人工呼吸(conventional mechanical ventilation;CMV)と並ぶ人工呼吸の一様式として定着しつつある1~3).
特に,「COPDの急性増悪」や「心原性肺水腫」においては多くの研究がなされ,CMVに対するNPPVの優位性が証明されているが,一方で,その他の急性呼吸不全例に対するNPPVのエビデンスは疾患により様々で,未だに十分ではない4~6).さらに臨床上の問題として,NPPVの利用には施設によって大きな差があること,NPPVの成功率がその施設のスタッフのNPPV使用経験に依存すること,ICUのみならず救急や一般病棟といった異なる環境で様々な患者に用いられていること,などといった点も明らかとなってきている2,3).また,やみくもにNPPVを用いることやNPPVに固執することはむしろ予後を悪化させたり,患者管理を困難にしたりといった“リスク”を増やすことも指摘されている7).
本稿では,最近発表された本邦でのNPPVガイドラインを参考に,急性呼吸不全におけるNPPVについて,適応と注意点,種々の疾患におけるエビデンスと推奨度などにつき論じたい.
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