症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法3
巻頭言
津崎 晃一
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
pp.465
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100106
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- 文献概要
モニタリングにまつわるトラブル対策も今回で一段落を迎えるが,彼我のガイドライン(「Standards for Basic Anesthetic Monitoring, ASA 2005」および「安全な麻酔のためのモニター指針, JSA 2002」)の冒頭に示される最も重要な基本方針は,麻酔科医による絶え間ない看視である。
これは,他のどのようにソフィスティケートされたモニタリング機器よりも,判断力と実行力を備える点で優れているが,時折の休息を必要とする欠点もある。いずれにせよ,麻酔科医は視覚や聴覚,触覚,嗅覚を十分に機能させながら,時には第六感を働かせて患者の安全をはかる必要があり,この技能は麻酔シミュレータでさえ再現困難な領域かもしれない。
生体制御のアナロジーとみなされる麻酔は,モニタリングすなわち生体情報出力にもとづくオペレータ制御より,むしろ,麻酔科医のパフォーマンス評価を制御ループに含むフィードバック制御として考えるべきなのだろう。
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