症例検討 管理に悩むリスクがある患者の麻酔2
巻頭言
津崎 晃一
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
pp.31
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101113
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- 文献概要
近年盛んに用いられるビジネス用語としての「リスクマネジメント」は,予想と異なる事象の発生に対し,想定範囲との差を最小限にコントロールしながら目標を最大限に達成するための管理手法を指す。具体的には,事前のリスク洗い出しに始まり,その特定や算定・評価へと進むが,最終的にはリスクのもつ影響度と発生確率(二次元リスク・マトリックス)にもとづいて,回避や低減,転嫁,保有などのリスク対策が講じられる。
一方,医療分野におけるリスクマネジメントは,今回の症例検討にも述べられているように,個別的な特殊事例が中心になりやすく,必ずしも系統的なアプローチや定量的な評価にもとづくデシジョン・ツリーが準備されているわけではない。したがって,リスクに強い麻酔科医であるには,多様な困難症例を実際に手がけておくことが必要であるが,誌上における思考訓練をダミー経験として積み重ねておくことも,十分に補完的な役割を果たすはずである。
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