徹底分析シリーズ またまた研修医の素朴な疑問─1
巻頭言
津崎 晃一
pp.503
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100312
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- 文献概要
LiSA好評シリーズの一つ,「研修医の素朴な疑問」では,日常の臨床麻酔でふと疑問にかられやすい話題を取り上げ,そのユニークな切り口とともに,読者を満足させる回答が得られることを目標としている。
研修医にとって,臨床麻酔にかかわる該博な知識を身につけることは確かに容易でなく,これは単に麻酔学の教科書を通読することで得られるものでもない。実際,医学としての麻酔学には経験則のみに頼らざるを得ない状況が存在し,巷間にもてはやされるEBMも,本来厳密であるべき科学的根拠というよりは,統計学的あるいは確率論的根拠にすぎず,時に意図的な背景を伴う場合があることに注意すべきである。
もちろん,現象の観察から推論を得,類似する観察の蓄積から,その分析を経て推論検証に至る論理的な道筋は重要である。しかし,これらの各段階をスキップして得る直観的な経験論にも,人間としての特性が発揮された利点があると言える。本誌内容の大部分は,文献的裏付けにもとづくものであるが,その行間に隠された経験論的本音に触れることができれば幸いである。
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