症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法3
カプノメータ:カプノグラムとそこから得られる患者情報
新井 としみ
1
Toshimi ARAI
1
1群馬県立小児医療センター 麻酔科
pp.508-509
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100125
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
カプノメータは地味なモニター?
筆者が入局した15年前は,現在のようにいろいろなモニターすべてが一体化されておらず,パルスオキシメータとカプノメータはそれぞれ独立した器械であった。それらも全手術室に完備されているわけではなく,両方を優先して使用できる症例は,心臓外科,肺外科,小児症例であり,これら以外のリスクの高い症例にあたった場合は取り合いになったものだ。そんな時どちらを選ぶかとなると,カプノメータよりはパルスオキシメータを優先して選んだように記憶している。
そんな地味なカプノメータも,現在は呼気終末二酸化炭素濃度のみならず,常時吸気呼気亜酸化窒素,吸入麻酔濃度まで教えてくれる便利なモニターとなっているため,特に研修医の間では麻酔覚醒時には必須アイテムの一つのようである。また,カプノメータが呼吸系評価のみならず循環系評価に役に立つことが身にしみてわかる経験をすると,地味なモニターどころか,なくてはならない力強い存在になるのである。
本稿では正常なカプノグラムをはじめ,日常の麻酔管理中に遭遇する基本的なカプノグラムの変化を紹介し,それがどのような患者情報を与えてくれるか,説明する。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.