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特集 生物々理—生理学生物々理若手グループ第1回ミーティングから
脳組織に於けるアミノ酸代謝の研究
Studies on Amino Acid Metabolism in Brain Tissue
植村 慶一
1
Keiichi Uemura
1
1東邦大学医学部第2生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, Toho University
pp.250-256
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906252
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高度に分化した神経系の機能の本質をさぐるには,形態学的方法,電気生理学的方法と並んで生化学的方法が有力な手段になると思われる。形態学の分野では組織化学と電子顕微鏡のめざましい発展により細胞内微細構造が次第に明らかになつて来ており,神経系では例えばNissl小体と云われた塩基性細胞内顆粒構造がいわゆるリボ核蛋白顆粒を含むEndoplasmic Reticulumに相当し蛋白合成の場となつていることが判つて来た1)。又電気生理学の方法は非常に短かい時間的変化を連続して捉えうる利点をもつており微小電極法の進歩によつて着々と成果が挙げられ,次第に電気現象の背景となるであろう物質の動きが,注目されて来ている。神経化学に於ても最近の進歩はめざましいものがある。この中で私達の脳組織でのアミノ酸代謝を中心に2,3の生化学的方法とその問題点及びそれが形態学や電気生理学とどのように関係して発展しうるかといつた点について検討してみたいと思う。
神経化学に於ける実験は動物組織の取扱い方によつていくつかに分けられる。即ち第1はIn situの実験であり,脳灌流によつて動静脈の灌流液組成の差をしらべることにより脳内での物質代謝の様相を探ろうとする方法,酸素電極,Na.K電極を用いて生きたままの脳表面や血液の組成を連続的に調べる方法等がある。
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