今月の主題 腎不全の病態と治療
代謝面からみた病態
アミノ酸代謝
川口 俊介
1
,
前田 憲志
1
,
斉藤 明
1
,
小林 快三
1
1名大分院内科
pp.470-471
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206502
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腎不全における蛋白アミノ酸代謝の特徴は,ひとつには,腎不全そのものの病態と密接に関連づけられるものと,他方,protein malnutritionの一症候にすぎないものとがある.前者としては,①腎組織の荒廃による酵素活性の低下,②尿中アミノ酸排泄異常,③腸管内吸収障害,④Insulin,growth hormoneに対するantagonismの存在,⑤尿素を初めとする種々のN含有物質の蓄積,⑥catabolismの亢進などが考えられている.後者のprotein malnutritionは,腎不全時に投与される低蛋白食と食思不振により惹起されるものであるが,従来のアミノ酸代謝異常の報告の多くが,この因子を腎不全固有の特徴であるかのように錯覚しすぎたきらいがある.また一方,現在までのアミノ酸代謝の解析は,主として血漿中のアミノ酸パターンの解析にすぎず,いわばアミノ酸の動的平衡の一断面をみているにすぎない.これに対し,Bergstromら1)は,より大きなアミノ酸プールである細胞内変化に注目して,さらに動的に代謝異常を把握しようとしている.以上のことを考慮し,腎不全時の蛋白-アミノ酸代謝について述べていきたい.
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