Japanese
English
綜説
焦性ブドウ酸の酸化と脱炭酸について
Biological Oxidation and Decarboxylation of Pyruric Acid
島薗 順雄
1
,
細谷 憲政
1
Norio SHIMAZONO
1
,
Norimasa HOSOYA
1
1東京大学医学部生化学教室
1the Department of Biochemistry, School of Medicine,University of Tokyo
pp.254-262
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905829
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焦性ブドウ酸(ピルビン酸)CH3・CO・COOHは糖質代謝の中間に生ずる重要な物質である。動物組織に於いて酸素を消費しない糖の分解(解糖)に於いては焦性ブドウ酸から乳酸を生ずるが,酸化がおこる場合には,焦性ブドウ酸はクエン酸回路(TCAサイクル)にはいつて炭酸ガスと水とにまで酸化されてしまう。酵母に於ける糖の醗酵に際しては焦性ブドウ酸からアセトアルデヒドと炭酸ガスとを生じ,アセトアルデヒドは更にエチルアルコールに還元せられる。細菌に於いては古くから醋酸,オキザル醋酸,蟻酸,アセトインなどが焦性ブドウ酸から生成することが観察せられていた。島薗(1950)1)は,かつてこれら焦性ブドウ酸の代謝経路に関する内外の文献につき綜説を行つたことがあるが,その後5年を経過する間に,この方面の研究は著しい進展を示したので,それらの点を中心とし,筆者らが得た所見をも併せてここに記述することとした。
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