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特集 第5回神経化学懇話会
シンポジウム・1
内因性精神病と精神薄弱の代謝異常
7.兄妹に見られたフェニール焦性ブドウ酸精神薄弱症についての第1報(妹の場合)
Studies on phenylpyruvic oligophremia: I. Some observations in a sister case of brothers
東 漸
1
,
東 徹
1
,
市山 卓爾
1
,
高坂 睦年
2
,
秋山 順子
2
,
寺尾 章
2
,
森 昭胤
3
Sŭsumu Higashi
1
,
Mutsutoshi Kosaka
2
,
Akitane Mori
3
1Higashi Hospital
2岡山大学医学部精神科教室
3岡山大学医学部陣内外科教室
2Dept. of Neuropsychiatry, School of Medicine, Okayama Univ.
3Dept. of Jinnai's Surgery, School of Medicine, Okayama Univ.
pp.726-729
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904054
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外国におけるphenylketonuriaの報告は,φlling1)以来相当多数に上つており,その発生機点に関する幾多の精力的な成績があげられる。吾国においては台・斎藤ら2)の報告以来,和歌山の宇野・岩崎3)の2例,鳥取の更井4)の2例など計33例を数え,ここに報告する症例およびその兄,また引続き岡山県北部において発見された2例,計4例を加え合計37例に達している。
本症は,尿にphenylpyrvic acidを証明することにより容易に発見せられ単純劣性遺伝型式をもつて類縁者中に発生すること5),肝内phenylalanine酸化酵素活性の不足により,血中phenylalanineの増加を示すこと6)など,既に明らかであるが,何故血中にphenylalanineが蓄積したら精神発育遅延が起るのかという最も根本的な問題は,依然として不明である。最近phenylketonuria,alcaptonuria,galactosemia,porphylinuriaなど,geneとenzymeと臨床異常を伴なう疾患の研究が生体代謝のための新しい問題として登場してきた。吾々も本症例によつてアミノ酸代謝異常と,その臨床型に関する多少の寄与を企てた。第2,3,4例の成績を纒める前に,これまでの小括として兄妹の内の妹の例を報告する。
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