談話
ロング教授の一般講演
有山 登
1
1順天堂医科大学
pp.66-67
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905539
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7月17日から開催の予定であつた日米医学協議会は,米國講師團の到着遅延のため1週間延期となつたので,その間の「つなぎ」に19日から3日間,先着のロング教授とサクラド博士がそれぞれ生化学と麻酔学の一般的講演を行つた.
ロング教授はエール大学の生化学主任教授兼医学部長で年齢50歳前後,白髪であるが溌刺たる動作と自信に満ちた態度は研究に油が乘り切つていることを物語つていた.しかしわが生化学界に於て教授を知つている者が殆んどないということは戰争によつて日米学界の交渉が絶えていた期間の長さを今更の如く思わせるものがあつた.
米國の基礎医学殊に生化学の教授はたいてい理科出身であるが,氏は医科出である故かその研究題目も医学的色彩が濃い.今回教授はわが医学全科の専門家を前に,脳下垂体前葉ホルモン及びそれに関聯する糖質代謝について講演したが,これは氏の最も得意とする演題ではあり,生化学以外の専門家にも深い感銘を與えた模様である.ロング教授の講演内容を生化学の立場から数項に要約してみよう.
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