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F. C. Reubi教授の講演より—利尿剤の作用機序について
清水 直容
1
1東大・吉利内科
pp.1109
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201414
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教授の講演は主として利尿剤の作用機序についてであつたが,とくに新しいsulfonamide系利尿剤であるfurosemide〔N-(2-furylmethyl)-4-chloro-5-sulfamyl anthranilic acid〕について述べられた部分が多い。
利尿剤の作用は尿細管におけるNa再吸収の阻止によつて説明されるが,その阻止機序はかならずしも十分に明らかにされていない。よく知られているように最近の腎生理学ではHenleの係蹄部が主役を演ずるcountercurrent機構を重視し,これによつて生ずる腎髄質の高滲透圧が水の再吸収に重要であるとしている。人間の場合,micropunctureやstop flow法などで尿細管の種々な部分でのサンプルを得ることができないので利尿剤の作用機序,作用部位もクリアランスの概念を用いての間接的な方法で推定する以外に方法がない。Heinemannらが述べたCH2O,TcH2Oなどの概念はこの点有用であつて,Reubi教授も,furosemide投与時,Cosmの著明な増加,CH2O,TcH2Oの減少を見ることから,この薬剤の作用部位を近位尿細管とHenleの係蹄の上行脚の2カ所にあると考えている。
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