研究報告
急性傳染病の病勢診斷に對する所謂疲勞判定法の價値(2)
福岡 良男
1,2
1東京医科菌科大学生化学教室
2東京都立本所病院
pp.68-71
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905540
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(ⅱ)體温とDSR反應値.
体温と反應値の関係は,一般には,35℃台では10点以下,36℃台では3.0〜12.0点,37℃台では10.0〜16.0点,38℃台では16.0〜23.5点,39℃台では20.0〜24.0点であり大多数のものは本温と比例する(第5図及第6図).尚この他に体温と比例せぬものがある.これを図表上の位置からその集團によつて,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,【IIII】の各群に分類することが出來る(第6図),Ⅰ群は体温が低き割に高きDSR反應値を示せるものであつて4例とも再燃前に出現せるものである,即ち間もなく再燃の始まることを示せる集團といえよう.Ⅱ群は体温の高いのに比して反應値の低い群であつて全例とも下熱期に入つて病勢が快方に進むと共に出現せるものである.即ち病勢の快方に進展せることを示している.Ⅲ群も体温に比して反應値の低い群であつて,しかもⅡ群よりも体温が一層平熱に近い群である.これは恢復期に微熱を示せる患者に出現せるものであり,これが如何なる意味を有するかは更に例数を重ねてから檢討する必要がある.【IIII】群は体温が平熱にあるにも拘らず本反應値が割合に高い群であつて,11例中下熱期に体温が弛張せる際に出現せるものが2例,恢復期に自覚的にも臨床的にも明らかに衰弱せる患者より出現せるものが7例,恢復期に歩行後出現せるものが2例である.即ち下熱期に出現せるもの以外のものは病後の衰弱のために出現せるものと考えられる.
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