予防と臨床のはざまで
Don Nutbeam教授の講演
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.428
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208207
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2月20〜21日に,第43回日本総合健診医学会が,山上孝司学会長(北陸予防医学協会施設長)のもと富山にて行われました.メインテーマは「個々の疾病発生リスクに対応できる総合健診をめざして」.遺伝子診断,基準値問題,アンチエイジング,データヘルス,ストレスチェックなど旬のトピックを,幅広くシンポジウムや教育講演で取り上げており,大変充実した勉強になるプログラムとなっていました.
そんな中で,健診分野でもその活用が注目されつつあるヘルスリテラシーについて,Don Nutbeam教授(英国サウサンプトン大学学長)を招いて,“Defining, measuring, and improving health literacy”と題した特別講演を行い,私は山上学会長のご厚意で,座長をさせていただきました.Don Nutbeam先生は,ヘルスリテラシーの定義や概念の構築(Health Promotion Int. 1998)に関わっており,2013年にパタヤで開催されたIUHPE(ヘルスプロモーション健康教育国際会議)でも,ヨーロッパ諸国のヘルスリテラシーの比較のシンポジウムの座長を務めています.講演ではヘルスリテラシーの概念や定義などの基本的な事柄に加え,ヘルスリテラシーが集団の基礎となるリテラシーのレベルに依存すること,測定のための尺度が未だ開発途上であり,特に批判的ヘルスリテラシーの測定が難しいこと,健診を担当する臨床医や行政担当者への期待などが述べられ,非常に幅広く示唆に富む内容でした.
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