談話
唾液腺内分泌の生理—(特にその内分泌機轉について)
緒方 知三郞
1
1東京医科大学
pp.238-242
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905500
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本稿は昭和24年9月25日東京医科大学で催された第62回生理学東京談話会に於て,特別講演として述べたものである。その冒頭に於て私はこの演題を選んだ所以について会員諸君の了解を求めた。『御承知の通り,私は病理学を專攻し来つたものであります。それにもかゝわらず特に唾液腺内分泌の生理なる演題を選びましたのは,次のような勝手な御願いがあるからであります。私共が唾腺内分泌の病理の闡明を目的として,昭和3年この方面の研究に手を染めましてから既に20年の長い歳月が流れ去つて居ります。この多年に亘る研究の結果私は唾液腺に内分泌機能ありとの確信を得まして,その内分泌機轉として一つの新しい考え方の成り立つことを公言し,現在の唾液腺の生理学に向つて異論を唱えだしたのも古いことであります。然るに私の知る範囲に於て,我國の生理学者の多くはこの異論に向つて賛否何れの意見をも発表せらるゝことなく今日に至つて居ります。私はこの機会に於て,この異論に対する皆様の忌憚なき御批評を仰ぎたくこの演壇に立つ次第であります。云々』次で同年6月19日第50回東京医科大学医学会に於て『唾液腺内分泌の生理と病理』と題して述べた特別講演(日本医師会雜誌第22卷第8号所載)の記事のうち実驗的生理学的事項のところを朗読したのち,特にその内分液泌機轉について次の如く説明した。
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