論述
糖尿病に關する實験病理學的研究(Ⅰ)—〔糖尿病亞鉛説(岡本)〕
岡本 耕造
1
1兵庫醫大,病理學教室
pp.231-237
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905499
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Ⅰ.まえおき
糖尿病の發見は今から約270年あまり前のこととされていて爾來本病については數えきれないくらい多數の研究がなされている。この研究のあとを顧みて3つの劃期的な躍進があつたと考える。すなわちまず膵臓の摘出によつて糖尿病が發生するというMering u.Minkowski33)の發見があり,次にBanting a.Best4)のインシユリンの發見があつて,最近のいろいろの實驗的糖尿病の生成方法の發見が續いている。すなわちこの約10年間にまず腦下垂體前葉エキスの投與による方法(Young68)),アロキサン(Alloxan)の投與による方法(Bailey a.Bailey1)),葡萄糖の投與による方法(Dohan a.Lukens6))の3つの實驗的糖尿病生成方法發見の報告があつて糖尿病の發生論,したがつてまた發生豫防の問題,糖尿病の發生,經過に對するいろいろの外的,内的の影響,糖尿病と疾病素因との關係等に關する研究は著しい進歩,躍進が期待せられるにいたつた。
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