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内分泌腺の移植療法
荒川 忠良
1
1徳島醫科大學
pp.487-492
発行日 1950年12月1日
Published Date 1950/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200429
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まえがき
皮泌科領域で内分泌腺に關連する疾患は甚だ多い。しかし毎常特定の内分泌腺の形態的あるいは組織的變化を具えて原因的關係が明かなものは割合少なく,大多數のものはその併發症状あるいは生物的,物理的,化學的檢索の結果から或る内分泌腺の機能異常を推測してその間に因果關係を求め,またホルモン療法の成績から原因を内分泌腺の機能失調と憶測するに過ぎない。後者は多くの場合その成績がまちまちで,同一疾患でも數種の内分泌腺が論議の的となり,また現に組織學的にも數種の腺に異常が證明されて,多腺性障碍と認定されることも少なくない。かかる場合その關係を明瞭にする爲にはそれぞれの症例につき詳細な組織的檢索を行うことは勿論必要であるが,腺の機能を目標とし,當該臓器を剔出して症状の變化ならびに脱落症状を知ることが第一の根據であり,當該臓器機能を亢進させてその症状の緩解ないし増惡を見ることが第二の方法となる。前者はX線などを用いれば量により機能減退の程度となし得るし,また動物實驗では榮養血管の緒紮により,また支配神經を切斷あるいは麻痺させる方法もとられている。後者の場合もまたX線による刺戟量照射は可能であり,また現に治療上にもよく用いられてはいるが,最も廣く行われているのは當該ホルモン剤の投與であろう。
内分泌腺産生物の投與には色々の方法がある。
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