Japanese
English
解説
蛋白質のリン酸化による神経機能の制御
Control of Function of Nervous System by Protein Phosphorylation
内藤 成孝
1
,
塩井 純一
2
Shigetaka Naito
1
,
Junichi shioi
2
1Section on Neural Systems, Laboratory of Biophysics, National Institutes of Health, NINCDS at the Marine Biological Laboratory
2Department of Biochemistry, Loma Linda University School of Medicine
pp.232-246
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904730
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共有結合修飾により酵素活性が調節されている例が数多くあり,そのうちでもっとも良く研究されているのが蛋白質のリン酸化である1,2a,b)。この反応は可逆的であること,de novoの蛋白質合成を必要としないこと,したがって速やかな調節が可能であること,エネルギー消費が僅かですむこと3),および細胞内諸因子の変化に敏感に応答し生体情報の効果的増幅をもたらし得ること4,5)に特徴がある。このことから蛋白質のリン酸化反応が生化学的進化の過程で多様な細胞内経路への発散的適応をし,種々の現象の重要な段階の調節を司るようになってきたと考えられる。たとえば糖質代謝や脂質代謝,蛋白質合成,細胞増殖因子の作用,染色体複製,遺伝子の転写,ポリアミン合成,ホルモンの作用,発癌,平滑筋の収縮,神経伝達物質の合成,細胞のイオン透過性の制御などの広範囲の過程において,酵素や蛋白質のリン酸化が決定的な調節的役割を担っていることが明らかになりつつある。
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