Japanese
English
特集 細胞機能とリン酸化
タンパク質の核内移行とリン酸化
Nuclear protein transport and phosphorylation
米田 悦啓
1
Yoshihiro Yoneda
1
1大阪大学細胞生体工学センター細胞構造機能研究部門
pp.277-280
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900353
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
真核細胞の大きな特徴の一つは,その細胞内に核と呼ばれる小器官(オルガネラ)を持つことである。核内には,DNAの形で遺伝情報が包み込まれており,その遺伝情報の複製やRNAへの情報の転写などの生命にとって重要な働きを核は担っている。核からは,RNAの形で細胞質に情報が伝えられ,細胞質でRNAから翻訳されて合成されたタンパク質のうち,核内で働くべき核タンパク質は,細胞質から核へ輸送される。このように,核と細胞質を隔てる膜である核膜を通して二方向性の輸送機構が存在している。このような輸送系を介して細胞は情報を交換し正常な秩序ある生命活動を営むわけで,核-細胞質間物質輸送機構の解明は近年注目を集めてきた。とくに,核タンパク質の核内移行機構の解析の進歩は著しく,多くのことが明らかにされてきた1-3)。最近になって,核タンパク質の核への移行の制御にタンパク質のリン酸化が関与していることが示されてきたので,この章ではそれを中心に概説する。
Copyright © 1992, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.