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実験講座
プロテオミクスによるタンパク質リン酸化の解析
Analysis of protein phosphorylation using mass spectrometry
山内 英美子
1
,
石野 洋子
2
,
小西 博昭
3
Emiko Yamauchi
1
,
Yoko Ishino
2
,
Hiroaki Konishi
3
1エーザイ株式会社コア・テクノロジー研究所
2広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻
3県立広島大学生命環境学部生命科学科
pp.151-157
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100839
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Ⅰ.リン酸化タンパク質の解析(実験編)
1.質量分析によるリン酸化解析の概略
近年,プロテオーム解析技術の発達に伴い,タンパク質リン酸化についても,より高感度,高精度また網羅的な解析が可能となり,従来では考えられなかったような多量のリン酸化部位の同定が可能になった。そのため,現在では特定のタンパク質に着目した個別解析に加え,細胞,組織レベルでの詳細なリン酸化の変動についても網羅的解析を行うことで,その巧妙な調節メカニズムや多様性が明らかになりつつある。このように質量分析法によるタンパク質リン酸化解析は,詳細な個別解析,網羅的解析いずれにおいてもプロテオミクス解析だからこそ得られる多くの情報が魅力といえる。ただし,個別にみればウエスタンブロット,あるいはRIを用いる場合に比べ検出感度は低い場合が多いことを念頭に置いておいた方がよい。
通常,プロテオミクスによるリン酸化の解析では,様々な方法を用いてまずリン酸化タンパク質あるいはペプチドを単離・濃縮した後,質量分析を行う手順となる。これに加えて,各種刺激や病態による変化などの変動解析を行う場合,一方のリン酸化ペプチドを安定同位体元素で標識し,標識体と非標識体とのピーク比を元にリン酸化の増減を定量する方法が用いられる。また,リン酸化を特異的に検出する質量分析手法を活用するのも有効である。本稿では,これらについて順に概説する。
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