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特集 受容・応答の膜分子論
刺激受容に対する膜リン脂質の代謝応答
Stimulus-induced responses of membrane phospholipid metaboiism
野沢 義則
1
,
吉岡 亨
2
Yoshinori Nozawa
1
,
Tohru Yoshioka
2
1岐阜大学医学部生化学教室
2横浜市立大学医学部生理学教室
pp.353-360
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904542
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諸種の細胞が外界の刺激受容に応じて活発な膜リン脂質代謝の亢進を誘起することはよく知られており1〜4),刺激—応答連関(stimulus-response coupling)の概念はほぼ定着したと云っても過言ではなかろう。この説のルーツを辿れば,30年前にHokin & Hokin(1953)5)が膵臓細胞のアセチルコリン刺激によるアミラーゼ分泌に伴ってホスファチジルイノシトール(PI)の〔32P〕取り込み亢進を見出したことがその端緒となった。しかも,この〔32P〕PI増加がPAを介するPIの再合成であることを指摘し,いわゆる"PIサイクル"の誕生に至ったのである。その後20年を経て,Michell(1975)1)によってこのPIサイクルがCa2+流入に連係しているというCa2+ゲート作動説が唱えられ,従来英国を中心に地味に続けられてきたPIの研究が一躍多大の注目を集めるようになり,今日では細胞生物学における重要な中心課題の1つにもなっている。ここでは限られた紙数のために,受容刺激に伴う膜リン脂質代謝の変動を視細胞と血小板の例について簡単に述べることにする。
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