Japanese
English
特集 膜脂質の再検討
総説
膜脂質に作用する物質
Membrane-active substances
野沢 義則
1
Yoshinori Nozawa
1
1岐阜大学医学部生化学教室
pp.26-37
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903230
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はじめに
生体膜脂質が,諸種の膜機能の発現に際して重要な役割を果していることはよく知られており,"構成"脂質に対して"機能"脂質とも呼ばれるべきものの存在が考えられている。したがって膜脂質の組成あるいは物理化学的な存在様態の変化が膜の構造および機能に影響をもたらすことにもなる。そこで,本稿では膜脂質に作用する物質の作用機構と誘起される膜現象の変動について述べるが,この類の物質にも脂質に直接に作用するものと間接的な作用を呈するものとがあり,しかもその種類も,きわめて多いために限られた紙数ではすべてを網羅することは不可能に近い。そこで,ここでは膜脂質との相互作用がかなり明確にされている物質に限定して,その主なもの,たとえば麻酔剤,環状抗生物質,毒素,金属イオンをとりあげ,これらの物質の膜脂質への作用に対する物理化学的根拠を示し,あわせてそれらの作用に随伴して生じる膜機能の変化を概説的に述べることにする。
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