Japanese
English
特集 リン酸化
総説
受容機構におけるリン脂質代謝と蛋白質リン酸化反応
Receptor-linked phospholipid turnover and protein phosphorylation
塩田 誠
1
,
梶川 憲雄
2
,
西山 馨
3
,
西塚 泰美
2
Makoto Shiota
1
,
Norio Kajikawa
2
,
Kaoru Nishiyama
3
,
Yasutomi Nishizuka
2
1兵庫医科大学整形外科教室
2神戸大学医学部第2生化学教室
3国立基礎生物学研究所細胞情報研究部門
pp.258-263
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903546
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本稿の読者の多くは電気生理学的手法を用いて種々生体の現象を観察しておられる方々であると聞いている。しかし筆者らはこれまで物質の構造変化や働きに現象の理解の基盤を求めてきたために,時間の概念には甚だ乏しい。特にイオンの動きや電位の変化といった物質として把えどころのない現象をどのような化学的基盤で理解するかを問われた時には戸惑いを禁じ得ない。また与えられた課題である蛋白質のリン酸化反応の生理学上の意義は,むしろ未解決の問題の方がはるかに多い現在,それと神経系におけるslow postsynaptic potentialをはじめ,種々の現象との相関は一部を除いてほとんど不明であると云ってもよい。刺激をうけた細胞において何が最初の化学反応であるのかは今のところ想像するしかないが,それは恐らくきわめて迅速な反応の過程であり,リン脂質代謝も蛋白質リン酸化反応も,共に外界の刺激に対する細胞応答の一連のカスケード反応の中の出来事として把握すべき現象である。
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