Japanese
English
主題 聴覚・4
視覚と聴覚の比較
Comparison between Vision and Auditory Mechanisms
丸山 直滋
1
Naoshige Maruyama
1
1新潟大学脳研究所
1Brain Research Institute, Niigata University
pp.407-416
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902871
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聴覚と視覚とは,各種感覚のうちでももつとも高度の弁別をともなうもので,そこから得られる情報は非常に多彩である。当然その弁別の仕組みも,他の感覚に比しずつと複雑なはずである。聴覚についても視覚についても近年その弁別の仕組みは,かなりくわしく研究されている。それらの結果を通覧してみると両者の間に多くの共通点もあり,また仕組みの点では共通であつても,その効果や意義がまつたく異なる場合も少なくない。両者を比較しながら主要な研究を振り返つてみたいと思う。
聴覚心理学では,音の三要素として調子・大いさ・音色を挙げている。調子は,周波数に対する弁別であるから,これに対応するものとして視覚では,色覚を挙げることができるであろう。聴覚での大いさには,視覚での明るさが対応されるであろう。また音色は,視覚での形状視に一応対応しうるであろう。しかしながら弁別の仕組みの観点からすれば,刺激の物理的性質からみた要素も,心理学的に抽出された要素も完全には対応していない。
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