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I.ホルマントとは
音声学ではソナグラフと言われる周波数分析器で音声を分析し,ソナグラムのパターンと聞こえ方(音色)との対応を調べ多くの成果を挙げている。ソナグラムは,スペクトルの時間的変動を調べるためのもので,時間を横軸に,周波数を縦軸にとり,各周波数成分のパワーを濃淡で表わすようにした三次元グラフである。またソナグラフは,任意の時点のスペクトルを二次元表示することもでき,これを振幅セクション,または単にセクションと呼んでいる。
「ひと」の有声母音では,図1左のセクションで見られるように,各成分音が周波数軸上に等間隔に並んでいる。ソナグラムの周波数軸は比例尺であるから,各成分音が基音の整数倍であることを示している。したがって各成分音の間隔は,基音の周波数に一致している。有声母音のソナグラムの特徴は,いくつかの周波数帯にエネルギーが集中していることである。これらをホルマントと言い,周波数の低いほうから第1,第2,第3……ホルマントと呼ぶ。これは,声帯音が声道を伝わる間に,その時の声道の形に特有な共鳴を受け,いくつかの共鳴腔の共鳴周波数帯に一致してエネルギーが集中するようになるために生ずるものである。個々のホルマントの包絡線の頂点をホルマント周波数と呼び,第1と第2のホルマント周波数の位置によって,その母音が,「ア,イ,ウ,エ,オ」のいずれであるかが決定されると言われている(図1右)。
Abstract
In phonetics human voices had been studied with sound spectrograph. Human vowels are characterized by the first and the second formant frequency. Each formant in a spectrum of a human vowel consists of several components separated by equal frequency intervals. The spectrums of cat's cries such as "miaowing" and "howling" are very similar to those of human vowels. But the bandwidth of each component for a cat cry is much wider in width than a human vowel. A formant of a cat's cry, therefore, consists of narrow bands of noise spaced at equal frequency intervals.
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