Japanese
English
主題 聴覚・4
方向感検査の臨床的応用
Clinical Application of Directional Hearing Test
切替 一郎
1
,
佐藤 恒正
2
Ichiro Kirikae
1
,
Tsunemasa Sato
2
1三楽病院
2東京警察病院耳鼻咽喉科
1Sanraku Hospital
2Division of Otolaryngology, Tokyo Police Hospital
pp.394-406
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902870
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.はじめに
両耳が同時に作動すると単耳のみで音を聴取する場合と異なつた特殊な働きを営むことができる。この現象を一般に両耳聴現象とよぶが,両耳加算(融合)効果,両耳分離能,音の立体感など多彩な現象がみられ,方向感はその一部面ということができる。外界に存在する音は両耳で同時に聴取すると,その位置を認知することができるが,同様に2個のレシーバで同一音を聴取すると,頭の中に音像を認知することができる。前者の偏倚をlocalization,後者をlateralizationとよんでいるが,両者の位置はよく合致するといわれる1)。
これらの両耳聴現象は,すべて左右の耳の入力情報が中枢内において共通の伝導路をもつているためにみられるものである。すなわち,その能力の障害は中枢の機能低下を示すために,近年これらの現象が臨床的に病巣診断の手段として利用されるようになつた。
Copyright © 1970, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.