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はじめに
福祉の街づくりにおいて,視覚・聴覚障害者は,視覚情報(標示,手話,口話,拡大文字,色の組み合わせ等),音声情報(音,声,磁気ループ,拡大音声等),触知情報(点字,ブロックの凹凸,振動等)などのなんらかの情報提供を必要とするグループである.
これらのグループは,車いすなどの肢体不自由者に比べその対策が単純ではなく,人,物,情報などの組み合わせによって効果が得られる場合が少なくない.例えば,視覚障害者,特に全盲の人について言えば,ブロックを敷設すれば済むというものではなく,その地域ないしはルート上の空間認知を必要とする.この空間認知においては,歩行訓練士などと連れ立って歩き,どこに何があるかの道路上の施設や危険箇所の情報に習熟する過程を経て,初めて単独歩行が可能となる.
視覚障害者用誘導ブロック(通称,点字ブロック),交差点の音声情報などは,こうした空間認知を支援するひとつの道路側の対応である.また視覚障害者のうち少しは物が見える弱視者については,ブロックなどの異なる色の組み合わせ,拡大文字などの標示による移動支援を必要とする.したがって,都市空間全体としての景観設計も含めたカラーコーディネートが重要な要素となる.
聴覚障害者については,標示,光などの視覚情報と車内,駅構内などの磁気ループ等による音声情報,振動情報などによる支援が必要である.聴覚障害者は,障害がまわりからわかり難いことや,移動支援の技術が難しいこともあって対応が進んでない.
本論は視覚障害者に重点をおいた情報障害者の対策の現状と課題をまとめたものである.視覚障害者については,誘導用ブロックの持つさまざまな問題点をはじめ,現在開発がある程度進んでいる音声情報システムの適用上の問題点を整理した.聴覚障害者については,一部で検討されている案内のための方法をわずかに示しただけである.
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