Japanese
English
主題 Polysaccharide・4
リゾチームの作用機作と生理的意義
The mode of action and biological significance of lysozyme
大沢 利昭
1
Toshiaki Osawa
1
1東京大学薬学部薬害研究施設
1Institute for Chemical Hazards, Faculty of Pharmaceutical Sciences, University of Tokyo
pp.154-166
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902776
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卵白リゾチームは比較的分子量の小さい(約15,000)塩基性タンパク質で,現在一次,二次,三次構造が完全に解明された最初の酵素である。さらに最近,一部の基質との複合体のX線解析による研究も行なわれて,酵素タンパクの特異的な酵素作用に関与する構造も明らかにされるに至つた。したがつて卵白リゾチームは酵素の作用機作の研究,あるいはcrystallographerによつて得られた知見をさらに生物物理化学的な,また有機化学的な立場から実証する上で最適の研究材料として,現在この種の研究がきわめて活発に行なわれている。一方リゾチームは自然界には卵白をはじめとして,ヒトや動物の涙液,唾液,血液,乳汁などの体液や各臓器,さらに植物や細菌などにも広く分布していて,その生理的意義の考察また医薬品としての応用も試みられているが,この酵素の加水分解酵素としての作用と生体内での生理的意義との関連は必ずしも明確ではない。本稿では卵白リゾチームの作用機作に関して,現在までに得られた知見を基にした主として生物有機化学的立場からの解説を行なうとともに,リゾチームの生理的意義に関しても若干の考察を加えるが,最近さかんに試みられている臨床的応用などに関しては他稿にゆずりたい。
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