Japanese
English
特集 自然免疫における異物認識と排除の分子機構
特集に寄せて―自然免疫を担う主要システム
On the review of innate immunity
岩永 貞昭
1
Sadaaki Iwanaga
1
1九州大学
pp.180-186
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902111
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ヒトなど脊椎動物の生体防御機構は,自然免疫/先天性免疫(Innate Immunity)と獲得免疫/後天性免疫(Acquired Immunity)の二つの反応系で成立しており,その精緻な免疫システムによって自己と非自己を認識しつつ異物を排除する。
一方,昆虫やホヤ,カブトガニなど無脊椎動物では,いわゆる記憶免疫のようなシステムはなく,血球細胞がもつ食作用によって異物を排除する仕組みはあるものの,一般に体液凝固因子や補体因子,メラニン形成因子,レクチン族,さらに抗菌物質群などが担うより直接的な感染防御が,自然免疫の主役である1-3)。近年,こうした動物の自然免疫についての研究が飛躍的に進展し3-5),高等動物の獲得免疫以前の生体防御を考える上で,貴重な情報を生んでいる*。特に無脊椎動物の感染防御に中心的役割を果たしているレクチン監視システムのような経路が,ヒトの補体系の中に新たに見出され,また,ウニやホヤの体液中にも補体C3様因子が同定されるなど,無脊椎動物と脊椎動物の間に,自然免疫における数多くの共通項のあることが明らかになった。
Copyright © 2000, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.