特集 サイコオンコロジー
特集に寄せて
大西 秀樹
1
1埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科
pp.445
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205586
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がん医療は日々進歩しつつある。治療法の進歩は生存期間の延長および治癒率の向上をもたらした。特に最近の薬物療法の進歩には,目を見張るものがある。支持療法の発展は患者さんの苦痛軽減に大きく貢献している。しかし,がんという病気は私たちの人生に突然現れる。がんの診断は今なお大きなストレスである。また,治療が進歩したものの,がんによる死者数は増えており,わが国における死因の第一位が続いている。また,治療中にはさまざまな問題が生じる。がんが治癒しても機能的,社会的な問題を抱え,精神的に苦悩している人も多い。家族も患者さん同様に苦悩していることが多い。精神的な問題を抱えるとがん治療と日常生活に負の影響が生じることから,がん医療におけるこころの問題への対応は欠かすことができない。その問題を解決するために生まれたのがサイコオンコロジーである。
サイコオンコロジーが日本に導入されたのは1980年代の後半である。がん告知,不安,抑うつ,せん妄などが真剣に議論されてきた。その後も,治療の進歩,時代の要請に応じて進歩を重ねている。また,精神医療の従事者もがん患者と接する機会は以前に比べて格段に増えている。したがって,サイコオンコロジーを専門としていなくても精神医療に従事する医療者は,最新かつ重要な情報に通じている必要がある。そこで,本特集は組まれた。
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