特集 脳を守る21世紀生命科学の展望
特集に寄せて
伊藤 正男
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター
pp.2-3
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902457
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1999年冒頭の『生体の科学』50巻1号では,生命科学の目覚ましい発展から生まれつつある創薬,遺伝子治療,再生移植という画期的な三つの新戦略について連続座談会を行って,その大きな可能性を展望した。
創薬とは,細胞の働きを支える化学的な信号伝達の仕組みについての新しい知識に基づいて,新たな薬を創造しようという試みである。第一メッセンジャ,受容体,イオンチャネル,トランスポータ,第二メッセンジャ,蛋白キナーゼ,リン蛋白などをつなぐ化学的な連鎖反応,さらにそれをあやつる遺伝子制御過程についての詳細な新知見を基に,これらを抑制したり促進して細胞機能の病的状態を改善する働きをもつ物質を新薬として計画的に作り出そうというものである。
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