特集 病気の分子細胞生物学
9.内分泌疾患
仮性鉱質コルチコイド過剰症
北中 幸子
1
Sachiko Kitanaka
1
1東京大学分子細胞生物学研究所分子系統部門
pp.468-470
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901767
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[疾患概略]
仮性鉱質コルチコイド過剰症(apparent mineralocorticoid excess;AME)は,幼小児期より低カリウム血症,高血圧など鉱質コルチコイド過剰症状を呈し,血中レニン活性・アルドステロン・DOCなどすべての鉱質コルチコイドは低値を示すというまれな先天性疾患である。低カリウム血症による腎障害により多飲多尿をきたしたり,体重増加不良を呈する。高血圧による脳出血などでの死亡例も報告されている。同胞発症例があり,常染色体劣性遺伝をとる。
本症では,血中コルチゾールは正常であるが,コルチゾールやACTH投与により症状が悪化し,スピロノラクトンの投与により軽快する。また血中コルチゾール半減期が延長しており,尿中ステロイド解析でコルチゾール/コルチゾン代謝産物比(THF+aTHF/THE)が著明な高値をとる。これらの所見により本症は,コルチゾールからコルチゾンへの代謝を司る11β脱水素酵素の欠損であると推測されるようになった。
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