特集 病気の分子細胞生物学
9.内分泌疾患
偽性副甲状腺機能低下症
武田 京子
1
Kyoko Takeda
1
1高知医科大学検査部
pp.471-472
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901768
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[疾患概略]
偽性副甲状腺機能低下症(pseudohypoparathyroidism;PHP)は副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)に対する標的組織の抵抗性を表す疾患で,血中PTH濃度高値にもかかわらず,血清カルシウム濃度の低値,リン(P)濃度の高値を表す。本症はヒトPTH投与による尿中cyclic AMP(cAMP)およびPの排泄量を指標とするEllthworth Howard試験によって,Ⅰ型(cAMP,Pともに無反応),Ⅱ型(cAMPは反応,Pは無反応)に分類される。さらに,Ia型では低身長,円形顔貌,中手/足骨短縮(brachydactyly),皮下骨腫などのAlbright hereditary osteodystrophy(AHO)徴候がみられ,PTHのみならずほかのG蛋白共役型受容体に結合するホルモン(TSH,Gonadotropin)にも抵抗性を示し,膜蛋白のGs活性低下が認められる。Ib型はAHOを欠き,PTHにのみ抵抗性を示し,Gs。活性は正常である。Ic型では,AHOと多ホルモン抵抗性を示しながら,Gs活性は正常である。Ia型の家系の中には,AHOとGs活性低下を示しながら,血清PTH,Ca,Pが正常の例があり,偽性偽性副甲状腺機能低下症(pseudopseudohypoparathyroidism;PPHP)と呼ばれている。
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