特集 病気の分子細胞生物学
8.代謝・栄養障害
反応性全身性アミロイドーシス
馬場 聡
1
Satoshi Baba
1
1浜松医科大学医学部病理学第二講座
pp.457-458
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901763
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[疾患概略]
反応性全身性アミロイドーシスは慢性炎症性疾患に合併してくるアミロイドーシスで,続発性アミロイドーシスとも呼ばれる。最近では,原因蛋白であるamyloid A(AA)の名からAAアミロイドーシスと呼ばれることも多い。基礎となる疾患は,以前は結核を代表とする感染症が多かったが,近年では慢性関節リウマチ(RA)が大部分である1)。RAにおける本症の合併頻度は消化管生検スクリーニングでの成績では7~10%程度,またRAの剖検例では21~25%に本症がみられる。本症では全身諸臓器に小血管壁を主体にアミロイドが沈着するが,臨床的には消化管と腎に難治性・進行性の機能障害をみることが多く,後者の場合には特に予後不良となる。本症でアミロイドとして沈着するAA蛋白の前駆体がserum amyloidA(SAA)である。AAはSAAのN末端から76個とする報告が多いが,必ずしも一定していない。SAAは急性期蛋白で,血中濃度は炎症時に数百倍以上に増加する。RAなど慢性炎症性疾患では血中SAAの持続的高値状態となり,これが本症発症の必要条件である。しかしそれだけでは必ずしも発症せず,ほかの要因も必要と考えられていた。
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