特集 病気の分子細胞生物学
5.腎疾患
ギテルマン症候群
阿部 康二
1
Koji Abe
1
1岡山大学医学部神経内科
pp.420-422
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901748
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[疾患概略]
腎の糸球体で濾過されたNa+,K+,Cl-,HCO3-,リン酸などの70~80%は近位尿細管で再吸収される。ブドウ糖やアミノ酸,尿酸,B2ミクログロブリンなどは95~99%再吸収される。濾過液はヘンレ係蹄を通過するうちにNaClの再吸収を受けて,遠位尿細管に至る。遠位尿細管ではNaClの再吸収がさらに進みつつ,アルドステロンやADHの影響を受けながら最終的な尿浸透圧や血清電解質調節が行われる。表1にこのような尿細管機能の異常に基づく疾患を整理してある。Gitelman症候群は遠位尿細管の機能異常によって発病し,Barter症候群に近似した病態として分類される。
Gitelman症候群は小児後期から成人にかけて発症し,遠位尿細管でのKやMg再吸収障害により低K血症となり,繰り返す脱力発作や発熱時のテタニーを主症状とする代謝性疾患である。脱力発作時には腹痛や嘔吐を伴うこともある。発育や脳CTスキャンは正常である。脱力発作などの症状が全くみられないことも多い。Barter症候群と同様に血清KとMg低下をきたすが,尿Ca排泄低下で鑑別される。
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