特集 病気の分子細胞生物学
5.腎疾患
X染色体性アルポート症候群
吉岡 加寿夫
1
Kazuo Yoshioka
1
1近畿大学医学部小児科
pp.423-424
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901749
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[疾患概略]
アルポート症候群は遺伝性の進行性腎炎に神経性(感音性)難聴などを伴う疾患である。思春期,成人若年期での末期腎不全の原因疾患として重要なものである。本症候群の遺伝型式としてはX染色体連鎖優性型のものが全体の約80~85%と最も頻度が高く,男性5,000人に1人の頻度である。その他に常染色体劣性型のものや孤発例の存在も知られている1)。
臨床的には,血尿,あるいは血尿と蛋白尿が男児で10歳までに気付かれる。蛋白尿は徐々に増加し,進行するとネフローゼ症候群を呈することがある。家系内の男性が腎不全に陥った年齢をみると,青年期(小児期から20歳前後)の家系と30歳以後の家系があることが知られている。腎外症状としては感音性難聴があり,腎症状に遅れて気付かれる。また,白内障,円錐角膜,球状水晶体,網膜色素変性などの眼症状がみられる1)。
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