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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
4章 循環器疾患
WPW症候群(早期興奮症候群)
Wolff-Parkinson-White syndrome(pre-excitation syndrome)
小林 洋一
1
1昭和大学病院医療安全管理部門
pp.442-446
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201959
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WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群は,心電図で,特徴的な波形である①PQ(PR)短縮(<0.12sec),②δ波,③QRS幅の延長(≧0.12sec)がみられる場合に診断される.心房心室間に通常は存在しない筋束(Kent束)が存在し,心房心室間の興奮がバイパスされ早期に心室が興奮するので,早期興奮症候群とも呼ばれる.このKent束伝導と房室結節伝導が融合することにより,冒頭に述べた独特の波形を呈する(図1).期外収縮などで,このKent束順伝導がブロックされると,房室結節を介した順伝導のみとなり,Kent束の室房(逆)伝導が起こりうる.房室結節を下降しKent束の逆伝導が繰り返され,リエントリーが形成されると,房室回帰頻拍が生じる.WPW症候群では,約40〜80%にこの頻拍を伴う.一方,心房細動も約10〜40%に伴う(図2).心房細動が生じ,Kent束の伝導が良好であると,心室細動を生じて致死的となる場合があるので,注意が必要である.
WPW症候群の診断には,主に心電図検査が用いられる.判読は,以下のような分類に沿って行うことが肝要である.
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