特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅲ.トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物
セロトニン
岸 昭宏
1
,
山本 経之
1
Akihiro Kishi
1
,
Tsuneyuki Yamamoto
1
1九州大学薬学部薬理学教室
pp.457-459
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901637
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セロトニン(5-HT)の脳における存在は,Twarog & Pageによって明らかにされた。この発見を契機に脳内における神経伝達物質としてのセロトニンの生理的役割およびその欠損に伴う病態が明らかにされてきた。一般に,伝達物質は神経インパルスに応じて神経終末部から遊離されたのち,一部は受容体に作用するが,他の大部分(80%)は再び終末部に取り込まれる。伝達物質の不活性化機構には伝達物質の酵素分解とともに,この再取り込み機構が重要な役割を演じている1)。能動輸送形態をとり,ラットの脳シナプトソームを用いて測定した[3H]5-HTの取り込みのK1(親和性)およびVmax(密度)値には脳の部位による差が認められ,いずれも辺縁系-線条体が大脳皮質,間脳および下位脳幹のそれよりも高い。
本項では,セロトニンの神経終末部での遊離および取り込み機構に影響を及ぼす薬物をあげ,概説する。
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