特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
2)ペプチド受容体
CRF受容体
今城 俊浩
1
,
出村 博
1
Toshihiro Imaki
1
,
Hiroshi Demura
1
1東京女子医科大学第二内科
pp.384-385
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901613
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Corticotropin-releasing factor(CRF)は生体のストレスに対する反応に中心的な役割を担う視床下部ホルモンである。CRFは1981年Valeらによりヒツジ視床下部抽出物から構造が決定された。両生類(カエル)のsauvagineや魚類のurotensin-1とアミノ酸配列が類似しており,当時はこれらが両生類・魚類のCRFと考えられた。しかし,その後哺乳類のCRFと非常に相同性の高い(>90%)ペプチドが両生類・魚類に存在することが明らかとなった1)。そこで,哺乳類にもsauvagineやurotensin-1に相当するペプチドが存在すると推測された。
1993~95年にかけてCRF 1型受容体(CRFR-1)2),2型受容体(CRFR-2)3)がクローニングされた。CRFR-1,2ともに,7回の膜貫通領域を持つG蛋白共役型の受容体である。CRFR-2はR-1と71%の相同性を持ち,αとβのスプライスバリアントがある。CRFR-2に対してはsauvagineやurotensin-1のほうがCRFよりも高い親和性を持つことから,哺乳類でもR-2に結合するurotensin-1・sauvagine類似ペプチドの存在が確実となった。そこで,Valeらのグループはラット脳からCRFR-2に高親和性に結合するペプチドをクローニングし,urocortinと命名した4)。
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