特集 ホルモンと生理活性物質
各論
1.視床下部ホルモン系
1) CRH (CRF)
須田 俊宏
1
Toshihiro SUDA
1
1東京女子医科大学内科学第2
pp.60-62
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902171
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生合成・分泌・機能
1.生合成
ACTH分泌刺激因子であるcorticotropin-releas-ing hormone (CRH)またはcorticotropin-releasing factor (CRF)は視床下部室傍核の小細胞で合成される.CRF遺伝子は2つのエキソンと1つのイントロンからなり,この5′側上流にはcAMP反応部位がある.その遺伝子発現は主にAキナーゼ系により促進され,糖質コルチコイドで抑制される.CRF mRNAから翻訳されてできたCRF前駆体は196個のアミノ酸からなり,その後修飾されて41個のアミノ酸からなるCRFができる.
CRFの合成と分泌の3大調節因子として,①日内リズム,②ストレス,③糖質コルチコイドによるネガティブフィードバック,がある.日内リズムとはヒトなら早朝,夜行性動物なら夕方~夜にかけてCRF―ACTH―糖質コルチコイドの分泌が亢進するパターンをいう.そのため鍵となるCRF mRNAは分泌ピークの数時間前から増加し始めてCRF合成を促進させ,その後分泌が亢進する.ストレスによるCRF遺伝子発現の亢進には,カテコールアミン,アセチルコリン,ヒスタミンなどのほかにアンギオテンシンIIやニューロペプチドYなどの神経伝達物質が関与している.
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