新しいneuropeptides・1
CRH(CRF)とGRH(GRF)
出村 博
1
Hiroshi DEMURA
1
1東京女子医科大学内科学教室
pp.772-781
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913367
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CRH(CRF)の歴史
CRH(CRF)(corticotropin releasing hormoneまたはfactor)は視床下部で産生され,下垂体前葉におけるACTHの放出を促す.脳が内分泌器官としての機能を果たす可能性は,すでに紀元前4世紀に医聖Hippocratesの著書「DeGlandulis」の中で,脳は乳腺と同様な腺器官であると述べられている.5世紀後,Galenは初めて下垂体について記述し,1664年にWillisは脳は下垂体と体液性因子によって結ばれていること,1742年にLieutandは下垂体門脈系について記載し,1860年に,von Luschkaはこの系の詳細な解明を完成した.1948年にHarrisは視床下部による下垂体の液性因子の可能性を示唆した.1955年にSaffran一派とGuilleminらは視床下部にCRHの存在することを確認した.その後20年以上にわたりCRHの単離について精力的な研究がなされたが,CRHとしてのcriteriaを満足する物質は得られなかった.
TRH(3個のアミノ酸)やLH-RH(10個のアミノ酸)の化学構造が解明されてから約10年を経て,1981年にValeらはヒツジCRH(oCRH)が41個のアミノ酸よりなることを明らかにした1).引き続いてNumaらは遺伝子構造解析法によりoCRF前駆体の全アミノ酸配列を明らかにし,さらにヒト由来のCRHの構造も解明した.またSchallyらはブタCRH,RivierらはラットCRH(rCRH),GuilleminらはヒトCRH(hCRH)の化学構造を明らかにした.
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