特集 受容体1997
Ⅱ.Gタンパク質共役型受容体
1.神経伝達物質・ホルモン
3)タンパク
CRH受容体
出村 博
1
,
今城 俊浩
1
Hiroshi Demura
1
,
Toshihiro Imaki
1
1東京女子医科大学第二内科
pp.433-435
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901242
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[ファミリー]ストレス伝達機構の中核であるCRH(corticotropin-releasing hormone)が視床下部に存在することは,1955年にGuillemin,SaffranとShallyらによって別々の方法で明らかにされていた。しかし,その化学構造が同定されるまでには30年近い時間が費され,1981年になってヒツジCRHが81個のアミノ酸よりなることがValeらによって同定された。その後ラット,ヒトのCRHはヒツジCRHとはアミノ酸が7個異なること,両生類や魚類などの脊椎動物のCRHの一次構造もよく類似していることが明らかにされた。1991年になって,Valeらはヒト(肝)およびラットCRH(脳)についてCRH結合蛋白質(CRH-binding protein;CRH-BP)が322個のアミノ酸よりなり,ヒトでは第5染色体の長腕に存在し,妊娠・出産や脳内分布とその異常(痴呆)にも関与することなどを明らかにした。さらに1995年になって,ラット中脳から新しいCRHのファミリーペプチドがクローニングされ,ウロコルチンurocortinと命名された。ウロコルチンは魚類のウロテンシンⅠやカエルのソーバジンなどのCRHファミリーペプチドとも高い相同性を示し,次に述べるCRH受容体との結合について興味ある知見が集積されつつある(図1)1,2)。
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