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特集 幹細胞研究の新展開
骨・軟骨形成幹細胞
Osteogenic stem cell
大串 始
1
,
吉川 隆章
2
,
土肥 祥子
3
Hajime Ohgushi
1
,
Takafumi Yoshikawa
2
,
Yoshiko Dohi
3
1奈良県立医科大学整形外科
2奈良県立医科大学第一病理学講座
3奈良県立医科大学公衆衛生学講座
pp.191-195
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901569
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骨髄には造血系細胞へ分化する幹細胞があるのはよく知られているが,骨組織を形成する骨芽細胞や軟骨組織に含まれる軟骨細胞へ分化する幹細胞も存在する。この分野において先駆的な業績を残したのはロシアのFriedensteinやイギリスのOwenらである1-3)。これらの幹細胞はstromal stem cellあるいはmesenchymal stem cellとも呼ばれ4),骨芽細胞や軟骨細胞のみならず,線維芽細胞,筋芽細胞,脂肪細胞へも分化しうる。また,このような幹細胞は骨組織を取り囲んでいる薄い組織の骨膜にも含まれ5-7),骨軟骨傷害に対する修復をこれら骨髄や骨膜を用いて行うことが考えられる。この臨床応用を考える場合,骨髄細胞は比較的容易に採取できるので本稿では骨髄由来幹細胞について述べる。
骨髄そのものを既存の骨軟骨組織の存在しない異所性の場,例えば筋肉内や皮下に移植すると骨軟骨組織へ分化することが知られている1-3)。しかし,その効率は低く不確実である。また,骨髄細胞を蛋白などの分子は通過するが細胞を通さないチャンバー(diffusion chamber)内に閉じこめて異所性骨軟骨形成をおこす実験系がある3,4,8)。しかし,このチャンバーを実際の臨床に用いることはできない。
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