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特集 幹細胞研究の新展開
結合組織幹細胞
Connective tissue stem cell
森井 英一
1
,
北村 幸彦
1
Eiichi Morii
1
,
Yukihiro Kitamura
1
1大阪大学医学部病理学教室
pp.187-190
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901568
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結合組織は線維芽細胞,脂肪細胞,筋細胞,骨,軟骨など多彩な細胞からなる。これら結合組織を構成する細胞は,すべて単一の結合組織幹細胞(conective tissue stem cell),あるいは間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell)と呼ばれる細胞に由来すると考えられているが,その実態は現在でも解明されていない。しかし,最近結合組織幹細胞に近い未分化な細胞を単離する手法が開発されはじめ,骨格筋や心筋,骨髄など全身のあらゆる部位,さらに創傷治癒の際に形成される肉芽組織にも結合組織幹細胞が存在することが示唆された。創傷治癒の後には高度な線維化を伴うはん痕が形成されることが多いが,はん痕化を抑制し,機能的な本来の組織の再生をうながすために,結合組織幹細胞を移植する試みがなされており,結合組織幹細胞をめぐる研究は基礎的研究から臨床応用まで幅広く活発に行われはじめている。
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