話題
Gordon Research Conference(老化の生物学)に参加して
石井 直明
1
Naoaki Ishii
1
1東海大学医学部分子生命科学系遺伝情報部門
pp.158
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901561
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1997年1月に,米国カリフォルニア州のリゾート,ベンチュラにおいてゴードン・リサーチ・カンファレンス「老化の生物学」が開かれた。会場となったダブルツリーは観光客相手の酒落たホテルであったが,さすがにこの季節は人もまばらで,静かな落ち着いた雰囲気であった。今回は研究仲間であるコロラド大学のT. Johnson教授がオーガナイズしたものであったので,彼の誘いで参加させてもらった。想像した通り,老化研究をリードする研究者たちによって,夕方2時間のポスターセッションを挟んで,朝9時から夜10時まで熱心な講演と討論が行われた。さらに,深夜はグラス片手にポスターを肴に熱い議論が闘わされた5日間であった。この会が示した老化研究の動向を簡単に紹介する。
老化の研究分野は多岐に亘り,今回もクラッシックな遺伝学や分子遺伝学を用いた基礎老化研究から,ヒトの老年病であるアルツハイマーや循環器疾患,骨粗鬆症までの広い範囲の話題が提供された。基礎研究においては老化を遺伝子の面から捕える方向に進みつつあり,実験動物として遺伝学的手法が確立しているマウスやショウジョウバエ,酵母のほかに,近年遺伝子解析が急速に進んでいる線虫の一種,C. elegans(C. エンガレンス)が話題の中心となった。
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