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第31回Cervical Spine Research Society(CSRS)のannual meetingが2003年の12月11日から13日にArizona州Scottsdaleで開催されました.私も参加したので学会の印象記としてご報告します.皆様既にご存知とは存じますが,この学会は頚椎疾患の基礎と臨床研究の発展を目的として設立された伝統のある学会であります.CSRSはおそらく頚椎関係の学会としては国際的に最も権威のある学会であり発表の一部は雑誌Spineの特集号として毎年掲載されております.またCSRSの関連学会としてEurope sectionも,毎年6月にヨーロッパで開催されております.Europe sectionは少し親睦目的のところもあって,それはそれなりに楽しめる学会でありますが,アメリカのCSRSはかなり採用基準が厳しい学会という印象です.実際本年度も口演発表の採用率は30%くらいということでした.しかし,口演発表57題中日本からの演題は13題であり,日本も徐々に主流派になりつつあります.今回の学会では慶應義塾大学の戸山芳昭先生,東京医科歯科大学の四宮謙一先生,高知大学の谷俊一先生,大阪南医療センターの米延策雄先生,北海道大学の鐙邦芳先生といった高名な先生方も出席なさっており,懇親会などで親しくお声をかけていただき感激しました.
この学会の特徴として優秀演題の受賞が多く設定されております.臨床研究賞,基礎研究賞,レジデント賞のそれぞれについて1等賞(2,000ドル),2等賞(1,000ドル),3等賞(500ドル)が与えられます.本年度は臨床研究で慶應義塾大学の千葉一裕先生がコンピュータを利用した頚椎後縦靱帯骨化症の骨化進展の観察で1等賞を受賞されました.この研究は日本で行われた多施設研究の成果であり,今後の研究形態のあるべき姿を教えられた感じがしました.幸いにも臨床研究では私の関節リウマチの上位頚椎病変に対する後頭頚椎固定術の長期成績の報告も2等賞に選んでいただきました.またわれわれの教室の瀬戸口啓夫君が基礎研究でBMP inhibitorを導入した神経先駆細胞移植による脊髄損傷の治療で3等賞を受賞しました.受賞目的で発表するわけではありませんが,受賞すると確かに学会参加費用の足しになり助かります.口演発表以外にも80題のポスター展示があり,ここでも日本からの演題がたくさんありました.ただしポスターは展示のみで発表の時間が設けていないため討論ができず残念でした.
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