話題
米国人類遺伝学会大会印象記
剣持 直哉
1
Naoya Kenmochi
1
1琉球大学医学部生化学第一講座
pp.159-160
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901562
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1997年10月28日から11月1日までの5日間,米国のボルチモア市で第47回「米国人類遺伝学会大会」が開催された。本大会は,毎年秋に米国またはカナダの大都市で開かれるたいへん歴史のある学会で,米国のみならず世界各地から多数の研究者が集まり,最新の知見をもとに活発な情報交換を行っている。筆者は本学会へは3回目の参加であるが,常に驚かされることはその規模の大きさと発表の多様さである。今回の演題数は口頭発表が約300題,ポスターが約1800題であった。しかしこれですべてではなく,ポスターにも選ばれなかった(発表が不採択)抄録がさらに数百題あるというから驚きである。米国における人類遺伝学者の層の厚さを物語っているともいえる。これだけの演題の発表の場となった,ボルチモアのコンベンションセンターもたいへん立派な会場で,なんとすべてのポスターを全期間に亘って掲示できる,それも一人150cm幅のスペースでという,日本の学会では考えられないような施設を有していた。発表は多岐に亘っており,最新の技術を用いた分子遺伝学から社会倫理の問題まで広くカバーしており,人類遺伝学を総合的に理解するための格好の場を提供しているといえる。焦点を絞ったコールドスプリングハーバーのミーティングやゴードンカンファレンスも魅力的ではあるが,いろいろな研究者が一堂に会する本学会も,日本から一度は参加する価値がある学会のひとつであると筆者は常々感じている。
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