Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
リンパ節―免疫反応とBリンパ球最終分化の「場」
The lymph node―The site for immune response and terminal differentiation of B lymphocytes
伊藤 恒敏
1
,
中村 雅典
1
,
八木 秀樹
1
Tsunetoshi Itoh
1
,
Masanori Nakamura
1
,
Hideki Yagi
1
1東北大学医学部第三解剖学講座
pp.370-381
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900939
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
免疫反応が起きるためには抗原提示細胞やT細胞,B細胞などの免疫担当細胞群が一定の「場」に存在することが重要である。免疫反応の「場」としてリンパ節と脾臓が重要な臓器であるが,通常皮膚などからの細菌などによる感染症などでは反応は,大抵の場合リンパ節で起こっている。リンパ節における免疫反応の詳しい解析は,近年まであまり進んでいなかった。リンパ節を含めた免疫組織の「場」というものの捉え方が難しかったのと,それら組織の形態的解析が形態学研究者と免疫学研究者の双方から敬遠され続けてきたことによると思われる。免疫学そのものの総体的な理解とは,まさに個々の免疫反応や免疫担当細胞について,それらにとって必要不可欠の「場」の中に置いてこそなされるべきである。「場」を無視しては生体では免疫反応も起こらないし,免疫細胞自身も分化したりすることはないのである。
近年,免疫担当細胞の表面抗原が多くのモノクローナル抗体に明らかにされた。表面抗原が同定されるとその機能も少し遅れて特定され,それによって細胞や機能が特定され,表面抗原の分布がようやく組織学的に検索されるようになった。中でもリンパ節胚中心の理解は抗体による免疫組織学的検索により大きく進展した1)。また,ここ数年,免疫細胞のアポトーシスが多大な注目を集めている2)。殊に胸腺リンパ球のアポトーシスは,胸腺におけるリンパ球の選択の問題と関連して多くの研究がなされている。
Copyright © 1995, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.