今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床
リンパ球の基礎
胸腺とリンパ球の分化
玉置 憲一
1
1東海大病理
pp.1192-1193
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206724
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Tリンパ球は免疫反応においてBリンパ球の抗体産生を補助し(T-helper cell),あるいは抑制し(T-suppressorcell),または細施性免疫反応において細胞障害cytotoxicityを示し(T-killer cell),マクロファージの反応を主とするようなウイルス,結核菌,癩菌,リステリア菌,真菌などの感染防御に主役を演ずる.これらの作用は,Tリンパ球細胞膜におけるレセプターが特異的に抗原と結合した際に放出される種々のT細胞因子に基づくものと考えられる.これらの因子には,他のTリンパ球,Bリンパ球,マクロファージなどに作用し,免疫反応の促進や抑制などを行う調節因子と,組織反応因子やウイルスの発育抑制に関与するインターフェロンなどを含むリンフォカインとに大別される.
Tリンパ球のこのような免疫機能は,胸腺作用のもとで,抗原とのレセプターが形成されるためであり,胸腺を欠くときTリンパ球の機能が欠けることは,新生児期に胸腺を摘出したマウス,胸腺の先天異常によりTリンパ球を欠くヌードマウス,Tリンパ球欠乏を伴う原発免疫不全症(Di George症候群,Nezelof症候群,Swiss型無ガンマグロブリン血症,Ataxia talangiectasiaなど)により明らかである.
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