Japanese
English
特集 ストレス蛋白質
酸素ストレスに対する生体反応と病態
Biological reaction against oxidative stress
佐藤 英介
1
,
山枡 誠一
1
,
井上 正康
1
Eisuke Sato
1
,
Seiichi Yamamasu
1
,
Masayasu Inoue
1
1大阪市立大学医学部生化学第一教室
pp.365-369
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900938
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ストレスとは生体代謝の恒常性を揺さぶる化学的,物理的あるいは精神的情報変化である。全ての細胞は周囲環境の変化に対応してさまざまな代謝応答を誘起すると同時に,各種の蛋白質を合成して新環境での細胞社会学的自己保存を図る。一連のストレス蛋白はその代表的産物である。ヒトは強いストレスを受けると,視床下部―下垂体―副腎―血管系を介して中枢―自律神経系とホルモンの代謝バランスが崩れ,心血管系の制御不全による循環病態(高血圧など)や消化器病態(粘膜血流障害や胃潰瘍)などの二大身体症状を呈する。組織への酸素供給(血液循環動態)が多細胞生物の生存を可能にする最重要因子であることから,血管の収縮弛緩動態もNOやスーパーオキシドを主体とする酸素代謝によりフィードバック制御されている。このため,各種のストレス情報が生体に及ぼす影響の中でも血液循環動態へのインパクトは極めて大きい。“原始の海”を血液として体内に内封した哺乳類にとっては,血液成分の恒常性を維持することが生存の大前提であり,ストレスに対応する臓器の代謝応答様式もこの原理に沿って統合制御されている。このため,臓器の局所血流(酸素代謝の質と量)を支配する血管抵抗性の変化もストレス応答機構として重要である。
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