Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
胃:ストレス蛋白質と粘膜防御機構
Stomach: Stress proteins and mucosal protection
中村 圭也
1
,
青池 晟
1
,
川井 啓市
1
Keiya Nakamura
1
,
Akira Aoike
1
,
Keiichi Kawai
1
1京都府立医科大学公衆衛生学教室
pp.304-308
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900211
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
消化器領域とくに胃粘膜障害の研究において非常に興味深いテーマの一つに低濃度の壊死性物質(mild irritants)によって誘導される胃粘膜保護作用,いわゆるadaptive cytoprotectionと呼ばれる現象がある。これは1983年A. Robertによりラットのin vivoの系を用いて発表されたものであるが1),その後この現象が胃粘膜の単離細胞を用いたin vitroの系においても同様に認められることより2),Robert自身も述べているように細胞自身に自己防御の機構が存在することが推察されていた。しかし,その細胞内機序については未だ不明である。
一方,近年の細胞生物学あるいは分子生物学における進歩は,種々のシグナルや非特異的な刺激に対する各臓器の応答を細胞レベルあるいは分子レベルで解明することを可能にした。そして種々の細胞機能が特定の蛋白質の合成あるいは合成後の修飾によってもたらされることが次第に明らかにされつつある。中でも熱ショック蛋白質(heat shock protein,HSP)あるいはストレス蛋白質と呼ばれる一群の蛋白質群が細胞保護機能に関与するものとして最近注目されている3)。
Copyright © 1991, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.